2007年8月23日木曜日

組織療法(胎盤療法その1)

 現在の胎盤療法の源流は1930年代のソ連の組織療法にある。組織療法はオデッサ医科大学の眼科医フィラトフ博士によって提唱された。目の角膜障害の治療法として、死体から取り出された角膜を移植したのが始まりであり、その後冷蔵ヒト胎盤を埋没させる組織療法を行った。瘢痕収縮(皮膚の傷痕)、胃潰瘍、リウマチ、喘息、眼疾患など多くの慢性疾患に効果を上げたとされている。
 胎盤埋没療法とは、局所麻酔を行った後で、冷蔵したヒト胎盤を大型注射針を使って皮下に埋め込む治療法をいう。胎盤埋没療法の効果は、1~3ヶ月持続するといわれている。

 それに先立つ1917年米国のカンザス州で、ジョン・ブリンクリーという人物が性欲減退に対して、ヤギの生殖腺をヒトの睾丸に移植するという治療を始め、これが当たり大もうけした。場合によっては死刑囚から手に入れたヒトの生殖腺を移植するということも行った。ジョン・ブリンクリーはシカゴのベネット医科大学を卒業できず、ミズーリ州の折衷医学専門の医科大学から卒業証書を500ドルで買った。その当時の米国のシステムでは州によってはこういうことでも医師として認めていたらしい。このジョン・ブリンクリーという人物はこの睾丸移植療法というべき治療を始める前にも、何かあやしげな飲み薬を売っていたらしい。結局、米国医師会から強い批判が出てカンザス州医師登録委員会はブリンクリーの医師免許を剥奪し、この睾丸移植療法は終わった。

 よく似た治療だと思う。ただ、ジョン・ブリンクリーの場合正規の医師ではなく、また当然治療に関する医学的データもなかったため、続けられなかった。フィトラフ博士はまともな医師であり、また当時の医学水準を満たすデータはあったものと思われる。胎盤埋没療法は昭和20年代に日本に伝わってくる。

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