2007年8月17日金曜日

新型インフルエンザ

インドネシア保健省は8月13日、バリ島西部ヌガラの女性(29)が鳥インフルエンザに感染して死亡したと発表した。
 国際観光地のバリ島で死者が確認されたのは初めてである。同国の累計死者は世界最多で、82人となった。これまで感染者はジャワ島とスマトラ島にほぼ集中していた。バリ島に年間に訪れる外国人は100万人以上で、日本人も約30万人が訪れる。
 インドネシアでは政府の予算不足などから鶏の処分が進まず、封じ込めのめどは立っていない。人への感染が繰り返されるうち、人から人に感染しやすいウイルスが出現する恐れがあるとして世界保健機関(WHO)などは警戒を強めている。

 どうも新型インフルエンザはインドネシアから出る可能性がある。今の鳥インフルエンザ(H5N1インフルエンザ)は97年に香港で出たものからだいぶ性質が変わっている。03~04年にベトナムやタイではやったものはClade1というグループになる。07年にインドネシアやイラクではやっているのはClade2というグループである。
 H5N1インフルエンザの症状は重いインフルエンザというよりも重い肺炎に多臓器障害を合併したもので50%以上の死亡率になっている。
 今のH5N1インフルエンザは97年に香港で出たものよりもヒトへの感染力が高まっている。鳥からヒトにまれにうつるという段階は過ぎて、ときにヒトからヒトにもうつるという段階までウイルスが変異している。
 現在ヒトのインフルエンザに使われているタミフル、リレンザの効果はH5N1インフルエンザに対しては低いようだ。またタミフルに耐性を持つものが25%くらい出る可能性がある。リレンザは耐性が出ない。またH5N1インフルエンザはヒトのインフルエンザに使う迅速診断キットで陽性になりにくい。

 今つくられているワクチンはプロトタイプワクチン(試作ワクチン)であるが、流行し始めるとこのプロトタイプワクチンを使うことになる。完成品のワクチンは流行が始まる直前あるいは直後のウイルスでつくったものになるが、できるまで6ヵ月間かかるので、最初の流行はプロトタイプワクチンとタミフル、リレンザで対処するということになる。鳥インフルエンザがヒト型に変異すると毒性が弱まるといわれているが、もし今の毒性のままヒト型に変異するとたいへんな事態になる。

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