2007年11月29日木曜日

官僚の能力

 守屋前次官が逮捕されたが、官僚の汚職はいつの時代でもどの国でもあることではある。それより問題なのは官僚の能力が低下しているのではないかということである。最近十分検討されていないと思われる欠陥のある法律が多い。個人情報保護法や改正建築基準法など、その法律の欠陥のため社会に弊害を与えている。中古家電の問題もそうだった。あの時は施行直前に大きな反対運動がおき、事実上法律が凍結されたような状態になっている。
 社会がより複雑になったため官僚の能力が追いつかなくなっているのか、それとも昔の官僚に比べて能力が低下しているのか、いったいどちらなのだろう。官僚の能力低下だとすれば、その官僚を生み出す国民全体の能力低下ということにもなる。

2007年11月27日火曜日

情けない話

 「全国知事会と舛添要一厚生労働相は11月26日、産前産後の周産期医療と医師確保対策について意見交換し、知事側は地方の医師不足対策の一環として、日本の医師免許を持っていない外国人医師の診察も可能にする特区認定といった規制緩和などを要望した」というニュースがあった。

 日本は人口が確実に減っていくのだから、働き手が不足するのは明らかなことだ。ただそれは単純労働者の不足というところにまず現れるのかと思っていたら、医師という非常に重要な分野で人手が不足し、外国人医師の導入という要請が出るまでなっている。相当情けない話である。これまで続いてきた医師数抑制策が医師不足の根本原因であるが、それにいろいろな要素がからんでいるのであろう。
 世界一の長寿をもたらした日本の医療体制が崩れていっている。

2007年11月23日金曜日

弟の帰郷



 ホノルルで仕事をしている弟が久しぶりに戻ってきた。ちょうど今日は弟の誕生日でもある。我が家で誕生パーティーとあいなったが、弟はハワイの食生活で糖尿病になってしまっている。炭水化物ダイエットをしているそうだ。食事前に自己血糖測定をしたところ145と良好な結果であり、安心して予定の食事を始めることができた。
 豆乳なべとデザートはStudio K'sのシフォンケーキ、これならカロリーはあまり高くないだろう。
 弟の長女も今年、米国本土のKenyon Collegeに入学した。俳優のポール・ニューマンの母校である。Kenyon Reviewという文芸誌が世界的に有名らしい。姪とも長い間会っていない。小さなときのやんちゃな印象のままだ。

2007年11月18日日曜日

酒離れとスイーツブーム




 若者を中心に「酒離れ」が進んでいるようだ。ビール主要5社が発表した2007年上半期(1~6月)のビール関連飲料(ビール、発泡酒、第3のビール)の出荷量が、前年同期より1.9%減り、1992年に現行の統計が始まって以来、過去最低になった。今年は好天に恵まれたうえ、新商品も相次いで売り出されたにもかかわらず、「若者を中心に進む『酒離れ』を食い止められなかった」(ビール業界関係者)そうだ。

 「酒離れ」というのは良いことだろう。飲酒による病気や事故・事件を考えると、厚生労働省は本来、禁煙と並んで節酒を啓蒙すべきなのだ。

 一方でスイーツがブームとなっている。最近はテレビもラーメン特集でなくスイーツ特集が多くなった。日本経済新聞土曜日版についてくるNIKKEIプラス1の裏面の連載も温泉紀行が終了し、スイーツ紀行となった。

 酒を飲む人が減り甘いものを好む人が増えるという現象は、どのように解釈するのだろうか。

2007年11月17日土曜日

土と水

 昨日書いた井上道義氏に似た名前だが井上博義というジャズ・ベーシストがいる。現在は、小さなジャズ・バーを経営していて、毎晩ライブがある。この人のCDで「土と水」というのがあり、ベースの井上さんとサックスの藤井政美さんとのデュオの演奏である。これはジャズとオーディオ好きである萩焼の十二代目坂高麗左衛門氏のアトリエホールで録音されたもので、オーディオ的になかなかの優秀録音である。

 元々坂高麗左衛門は、豊臣秀吉の文禄・慶長の役の際に大阪に招致された朝鮮の陶工・李敬の末裔であり、毛利氏の萩移封後、萩城下松本村に開窯し、二代藩主綱広公より“高麗左衛門”の名を賜った。以来、坂高麗左衛門と名乗り、萩焼の宗家としてその伝統を長く受け継いでおり、十二代目坂高麗左衛門は、坂家伝来の萩焼に自らの専門分野であった日本画を施し、萩の陶芸界に新風を巻き起こしたとされている。

 その十二代目坂高麗左衛門氏が亡くなったのが2004年7月26日であった。新聞でそのニュースを読んで不可解な印象を持った覚えがある。坂氏は7月22日に知人数人と飲んだ後、深夜0時過ぎに友人二人と自宅に帰宅。その7時間後に自宅敷地内で倒れているのを友人が発見し、119番通報したが、意識不明のまま26日に死去。自宅2階からの転落による脳挫傷が原因の事故死として処理されたということだ。 推理小説のネタになりそうな事故である。

 長い間、井上博義さんのジャズ・バーに行っていない。これはジャズをあまり聴かなくなったということもあるが、もうひとつ理由がある。自宅を建てる際に本格的なオーディオ装置を買うことにし、井上さんからある店を紹介された。そこはオーディオマニアが集う店であり、メーカーの製品をそのまま売るのではなく、それを改造してよりグレードを高くして売るという商法であった。機器をつなぐケーブルなどのオーディオアクセサリー類もびっくりするくらい高額であった。改造なしで機器類を定価で買って、ふつうのケーブルを使ったときの2倍くらいの値段になる。さらにそこでやっているクライオ処理というのが理解できなかった。これは機器やケーブルをマイナス100度以下に冷却すると音が良くなるというものだが、理解不能であった。オーディオ暦の長いマニアがよく分かった上でこの店で買うのならばよいが、素人が買うような店ではないと思った。結局その店では買わなかったのだが、断るときにいやな思いもした。そのために井上さんのジャズ・バーに行きづらくなり、その後一回も行っていない。だがもうそろそろ行ってもいいかなという気はしている。

2007年11月16日金曜日

十字架もない私の墓に三本のゆり

 これは今日聴いた井上道義指揮のショスタコーヴィチ14番の第4楽章の中の一節の日本語訳である。
 プログラムは9番と14番、ショスタコの中では人気がない部類に入る曲だが、9割もの客の入りで井上道義さんが驚いていた。以前このホールで本場ロシアのドミトリエフ指揮で、もっと人気のあるショスタコの11番が演奏されたが客はもっと少なかった。これは私のように、井上道義さんの指揮だから聴きに来たという人がけっこういるのだろう。
 それぞれの曲の前に井上さんの解説があった。井上さんは一見ダンディな感じだが、トークは気取りがなく、ユーモアがありとても良かった。井上さんのトークで初めて知ったのだが、ショスタコの9番はユダヤ人のための曲だという説が最近出ているらしい。最終楽章ではユダヤの古い踊りが引用されているということだ。
 この9番という交響曲はソ連当局からベートーヴェンの第九に匹敵する大曲を期待されていたのに、わざとこじんまりとした軽い感じの曲にしたため、当局の不興を買ったというのは有名な話である。もしこれがユダヤ人のための曲だということが露見していたら、ショスタコーヴィチは反ユダヤ主義のスターリンによって粛清されていただろう。こういうことをするのがショスタコーヴィチという人なのだ。
 今日のメインは14番、日本ではめったに演奏されることがない。それはこの曲が交響曲ということになっているが、実際はバスとソプラノによる声楽曲であり、ロシア語による歌を充分に歌いきる歌手がほとんどいないという理由による。今日は井上さんが選んだロシア人歌手が見事な歌を聴かせてくれた。この曲は日本では「死者の歌」という副題で呼ばれるように(そういう副題を付けるのは日本だけらしいが)、暗い歌である。演奏中ホールの照明を落とさず、日本語訳を読みながら聴けるように配慮がされていた。まあ、かなりハードな曲ではある。癒しには決してならない。もっともショスタコで癒しになるような曲はないか。
 古い知人の森岡夫妻に会場で声をかけられた。こういう趣味があるとは知らなかったなあ。

2007年11月13日火曜日

マウント・クック


 この写真は若いときに旅行したニュージーランドのマウント・クックである。遊覧飛行機でマウント・クックの氷河の上に降り立った。氷河といっても北海道の雪原のようであまり感動もなかった(北海道の雪原を知らなければ感動したと思うが)。マウント・クックは英国の海洋探検家キャプテン・クックからつけられた名前である。

 当分の間、国内旅行もできそうにないなあ。
 

 

2007年11月11日日曜日

フランクのヴァイオリン・ソナタ

 1週間前に、インジフ・パズデラと志村泉という人のデュオリサイタルを聴いた。お目当ての曲はフランクのヴァイオリンソナタ。会場でもらったパンフレットで知ったのだが、パスデラという人はチェコのシュターミッツ弦楽四重奏団の第一ヴァイオリン奏者である。シュターミッツ弦楽四重奏団の名前は聞いたことがある。帰って調べてみると、彼らが演奏したヤナーチェク、スメタナ、マルティヌーの弦楽四重奏曲集のボックスセットを持っていた。
 パスデラさんの演奏は良かったのだが、フランクのヴァイオリン・ソナタはロマンティックな曲なのに、パスデラさんはまったくロマンティックな風貌ではない。これは目を瞑って聴くのが正解なのだろう。

2007年11月3日土曜日

ザグレブ四重奏団とザラフィアンツ

 ザグレブ弦楽四重奏団とピアニストのエフゲニー・ザラフィアンツのコンサートに行った。
 プログラムは第一部がハイドンの弦楽四重奏曲「ひばり」とシューマンのピアノ五重奏曲、第二部がブラームスのピアノ五重奏曲。
 月末から月初めにかけては事務作業が多く、少々疲れていた。「ひばり」の心地よい音楽でうとうと眠ってしまった。でも、第二部では眠気もなくというか、演奏の迫力に眠気も吹っ飛んでブラームスのピアノ五重奏曲をしっかりと聴いた。この曲は名曲だと思う。
 ザラフィアンツはそれほど有名な人ではないが、なかなか良かった。調べるとnaxosからザラフィアンツのCDが出ている。これはぜひ購入しよう。