2008年6月28日土曜日

コカ・コーラを医療に利用

 コカ・コーラを医療に利用するという話がある。


 ひとつは胃石の治療である。

 胃内で食物あるいは異物などが不溶性の結石状になったものを胃石というが、日本では柿胃石が多い。柿胃石は他の胃石に比べて硬く、内視鏡を使った砕石術の際難渋することが多い。この胃石がコカ・コーラで溶けるという報告が何件もある。やり方はさまざまで鼻から胃に入れたチューブから12時間かけてコーラを3L注入し溶かした場合や、毎日700mlのコーラを2ヶ月間飲んでもらって溶かしたとかいろいろである。


 もうひとつは胃切除後に内視鏡検査をする場合の前処置である。

 胃切除後に残った胃には朝絶食であっても食物残渣、胆汁逆流などがあり、内視鏡検査を困難にする。コカ・コーラを700ml飲んでもらうと他の前処置よりもきれいになるという発表が米国の消化器関連学会であったそうだ。

 それでどうしてコカ・コーラなのだろう、ペプシ・コーラはどうなのか(世界的にはペプシの方がシェアは高いのでは?)。他の炭酸飲料はどうなのかなどいろいろ疑問はある。
 そもそもコーラで胃石を溶かしたり、胃内を洗浄するということをなぜ思いついたのだろう。たぶん最初に試した医師がコカ・コーラ好きだったのではないだろうか、その後は前例にならってコカ・コーラということになったのかも知れない。

 コーラではないが、内視鏡検査中のレンズの汚れ落としにウーロン茶がよいという報告もある、これは窓の油膜とりにウーロン茶が活用されていることに着目して、試してみたらよかったらしい。



 余談だが、日本コカ・コーラ社製品の研究開発を担当するコカ・コ-ラ東京研究開発センターは、2006年4月1日、東京大学医学部付属病院で行われているプロジェクト「22世紀医療センター」に寄附講座を開設した。一般食品・飲料メーカーの寄付講座開設は、コカ・コーラ東京研究開発センターが初めてとのこと。講座名は「コカ・コーラ抗加齢医学講座」。加齢に伴って発症する肥満、生活習慣病、骨粗鬆症に対して予防効果のある飲料成分や食品成分の検討を目的としている。具体的には、動物実験で食品成分の作用やメカニズムを検討するとともに、細胞や人での試験も行い、肥満や高脂血症などへの効果に科学的根拠がある飲料や食品成分を解明するという。


 

2008年6月26日木曜日

セネストパチー

 セネストパチー cenesthopathy(体感幻覚症・身体型妄想性障害)という言葉を初めて知った。

 セネストパチーとは神経生理学的に考えにくいからだの感覚(=体性感覚)の幻覚(刺激がないのに痛みや違和感がある)のことをいう。精神疾患が背景にあり随伴症状として発症する場合(広義のセネストパチー)とそうでない場合(狭義のセネストパチー)がある。自律神経失調状態の不定愁訴のようにからだのあちこちに発症せず、いつも同じ部位に痛みや違和感が生じる。口腔内の違和感(=口腔内異常感症)が最も多く、ついで陰部・肛門周辺・首や足、皮膚の蟻走感、ピリピリ感、チクチク感など様々とのこと。

 このセネストパチーは医学領域でも一般的に使われる言葉ではないようだ。ネット上のメルク・マニュアルで検索してもひっかからない。ただ、セネストパチーという概念に当てはまる人は多い。

2008年6月1日日曜日

二ヶ月間の備蓄

 2007年3月に厚生労働省から出された新型インフルエンザのガイドラインでは各家庭で2週間分の食料の備蓄が呼びかけられているが、ほとんど知られていない。

 国立感染症研究所の岡田晴恵氏は二ヶ月間の備蓄の必要性をとなえている。新型インフルエンザは第1波から第3波までくるといわれている。ひとつの波が続く期間は約二ヶ月で、ピークは2週間である。毒性の強い新型インフルエンザが流行すると、流通システムが破綻し生活必需品が入手できなくなる可能性が出てくる。そのため、最低二ヶ月の備蓄を各家庭がしておくべきだということだが、2週間ならばともかく二ヶ月の備蓄はなかなか困難だ。岡田氏は可能ならば半年間の備蓄をすすめているが、それはまず不可能だろう。

 インフルエンザの専門家が想定する最悪のシナリオの場合、日本国内で死者が600万人(第2次世界大戦の死者の2倍)という事態になる。