2007年8月4日土曜日

日光

1903年、デンマークのニールス・フィンセンは尋常性狼瘡への光線治療法によりノーベル生理・医学賞を受賞した。フィンセンによって確立した日光療法は結核、ホジキン病、梅毒、化膿などの治療法として使われた。そして日光が皮膚でビタミンDの形成を誘発することが判明し日光浴が世間に浸透した。しかし感染症に対する日光療法は抗生物質の到来により使われなくなり、彼の科学的な研究の大部分は今日忘れ去られている。
 私が子供の頃は日光浴は健康に良いとされていた。だが、今では逆である。日光の紫外線によりコラーゲンとエラスチンの分子が壊され皮膚にしわができるというだけでなく、白内障にもなりやすく免疫力も低下する。一番の問題は紫外線によってDNAの分子が破壊され、あるいはDNAを傷つけるフリーラジカルが発生し、皮膚がんができやすくなるということだ。
 今は日光から皮膚を守るために長袖を着てつば広の帽子をかぶり、また眼を守るため色が薄く紫外線カット率の高いサングラスをかけるのが健康に良いということになった。しかし、日光にはビタミンDを活性化する作用と、脳の活動を引き起こし体内時計の調節を行うという作用があり、まったく日光に当たらないのも健康に悪い。意識的に日焼けする日光浴は危険な行為であるが、朝起きて日光に当たるのは必要なことである。

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