2009年2月12日木曜日

アリアンナの嘆き

 今日は朝から気分の乗らない日であった。そういう気分のまま、「アリアンナの嘆き」(これはモンテヴェルディの曲)と題されたバロックコンサートに行った。ロベルタ・マメリという若いソプラノとメゾソプラノの波多野睦美、バロックギター、リュートのつのだたかしの3人のコンサートであった。波多野睦美とつのだたかしは日本バロック界の有名人であり、CDは持っていなくても名前は知っている。特につのだたかしは漫画家のつのだじろう、ドラマーのつのだひろの兄弟だということも知ってるもんね。でも今日の主役のロベルタ・マメリという歌手の名前は聞いたことがなかった。

 コンサートが終わったあと、すっかり幸せな気分になっていた。音楽の力だなあというのはちょっと違う。実はロベルタ・マメリという人がとても美しい人だったのだ。写真よりも若くて美しい人だ。美人歌手のすばらしい歌声を聴いて幸せになった、つまり音楽+リビドーの力というのが正しい解釈。最前列中央の席でしっかり見て聴きました。

 このマメリ、バロックというマイナーな世界にとどまらなければ、人気が出ると思う。プログラムのプロフィールではモーツァルトやワーグナーのオペラに出演したり、ブラームスの宗教曲やさらにはオルフ、バーンスタインなどの20世紀の音楽も歌っているようなので、今後期待が持てる。

 マメリのバロック以外のCDが出れば購入します。実はバロックは後期のバッハやヘンデルは聴くが、今回のコンサートのモンテヴェルディのような1600年代の初期・中期のバロックはちょっとにがてなのだ。

2009年2月7日土曜日

1743年製グァルネリ・デル・ジェス

 グァルネリ・デル・ジェスはストラディヴァリウスと並ぶヴァイオリン製作の名工として知られている。
 1743年製グァルネリ・デル・ジェスは門外不出のコレクションとしてニューヨークの大富豪の手元にあったものであり、いまだかつて公の場で弾かれたことはないらしい。

 今日、大阪フィルハーモニー交響楽団の首席コンサートマスターである28歳の長原幸太のリサイタルでこの楽器が弾かれた。
 今回のリサイタルのプログラムは第一部はドビュッシーのヴァイオリンソナタ、ラヴェルのヴァイオリンソナタ、クライスラーの小品で「愛の喜び」、「愛の悲しみ」、「ウィーン奇想曲」、第二部はプーランクのヴァイオリンソナタ「ガルシア・ロルカの思い出に」、サン=サーンスのヴァイオリンソナタ第1番、アンコールがドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」、マスネのタイスから瞑想曲というオールフランスであった。

 グァルネリは先入観もあるのかも知れないがやわらかく艶のある良い音だった。

 サン=サーンスのヴァイオリンソナタを演奏することを最初に決めたので、オールフランスで行こうということになったらしいが、あまりなじみやすい曲目ではない。サン=サーンスはなかなか良かった。ドビュッシーのヴァイオリンソナタは曲としては分かりにくいが、今回の曲の中ではCDでよく聴いており、なじみがある曲である。

 最後のマスネの瞑想曲は予定にはなく、急遽演奏したのでリハーサルはしていなかったとのこと。でも最後がこの曲で良かったと思う。

 今回フランスのエスプレッソじゃなく、エスプリをたっぷり味わったが、ベートーヴェンのクロイツェルソナタやブラームスの雨の歌を聴いてみたかったと思ったりして。