2007年9月16日日曜日

アルコール性筋肉痛

 私は常習的な飲酒はしないが、何かの機会に飲酒することはある。アルコールが分解されてできるアセトアルデヒドは有害物質であり、発がん性もあるといわれている。このアセトアルデヒドが二日酔いの原因物質である。アセトアルデヒドを分解するアセトアルデヒド脱水素酵素の遺伝子は3型あり、それによってアルコールに強い、弱い、まったく飲めないという体質が決まる。白人・黒人は100%強いタイプらしい。モンゴロイドの45%が弱いタイプ、5%がまったく飲めないタイプである。

 私は45%の弱いタイプである。会合では酩酊するまで飲むことはないが、自分の代謝力を超えて飲んでしまうことが多い。そうすると翌日軽い二日酔いで、胃の調子が悪い、気分がおちこむ、体がだるい、といったことになるのだが、下肢を中心とした筋肉痛も出る。アルコールで筋肉痛が出るという人は割といるようだ。 この筋肉痛の原因をこれまで、アセトアルデヒドを代謝するためにブドウ糖が分解されて乳酸ができて、それがたまって筋肉痛の原因になるのだと思っていた。

 しかし、どうやら違うようだ。筋肉痛は、かつては疲労物質とされていた乳酸の蓄積によるものと考えられてきたが、その考えは現在では否定されており、現在主流となっている考え方では微細な筋肉細胞の損傷が原因とされている。筋肉自体には痛みを感じる機能がないので、筋肉細胞の修復過程での筋膜やその結合組織に起きる炎症が痛みを感じさせていると考えられているようだ。

 これは運動性の筋肉痛の説明にはなってもアルコール性筋肉痛(こういう言葉は一般にはないが)の説明がつかない。そこでもう少し調べてみた。

 アルコール中毒者の場合、アルコールによる筋細胞の代謝障害(エタノールやアセトアルデヒドによる筋肉内解糖系酵素活性の阻害)または直接毒性(エタノールによる筋鞘膜や筋肉内ミトコンドリアに対する直接毒性)等により横紋筋融解症を含む筋障害(アルコール性ミオパシー)を来たす場合があるらしい。そうすると中毒者でなくても、アルコールによる作用で横紋筋融解症やミオパシーまではいかない軽度の筋障害がおきる可能性も十分考えられる。

 アルコールによる筋肉痛の研究をしている人などいないだろうから、原因が確定することはないだろう。今のところこのアルコールによる軽度筋障害説で納得しておこう。

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