2007年10月2日火曜日

火がご馳走

 20年以上前になるが、出向で札幌で働いていたことがある。タクシーの運転手が北海道の昔のことばだと言っておしえたくれた「火がご馳走」。寒い中を訪ねてきた人に対するもてなしは何よりも火で温めてあげるということ。北国でなければ分からないことばである。その時期はプライベートで苦境に陥っていた時期であった。北海道の冬空のように毎日重苦しい気持ちだった。北海道の冬は、永遠に続くのではないか、春は来ないのではないかと思うような厳しさであった。でも時期がくれば雪がとけて春は来た。雪解けの意味が身にしみて分かった。春が来たのがこんなに嬉しかったことはない。私の心の冬もやがて終わりをつげた。「火がご馳走」ということばはいまだに印象に残っている。

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