2008年12月16日火曜日

「市民オペラ」考

 私が市民オペラに対して持っていた偏見とは「学芸会」ということである。ところが最初に観た市民オペラがプロを交えてのりっぱなできのオペラであったために、その偏見を改めたのだったが、先日の2回目になる観劇でその偏見が裏付けられてしまった。
 オペラは言うまでもなく総合芸術であり、歌とオーケストラによる演奏の音楽の部分と演出という部分で構成されている。演出家、歌手、指揮者・オーケストラはそれぞれが重要である。

 先日の経験だけで市民オペラを語る危険性は承知の上で、論じてみたい。

 市民オペラは歌手の部分に偏りすぎているのではないか。先日の公演でも、主役の歌手が演出家も兼ねていた。これでは陳腐な演出しかできないだろう。またオーケストラが軽視されているのではないか。通常のオペラではまず、指揮者が観客の拍手を受けて登場し、序曲が始まり幕が開くわけだが、先日の市民オペラでは指揮者の姿が見えないまま音楽が始まった。いくら歌手が良くてもオーケストラの演奏が悪いと良いオペラにはならない。良い演奏のためには指揮者の役割が重要である。

 市民オペラは歌いたい人たちが主であり、その他は従なのであろう。その歌手も先日の公演では、やはりアマチュアの域を出るものではなかった。結局自己満足のための公演ということだ。観客もほとんどが親類縁者や知人友人なのだろう。それならそれでよいが、それで料金を5500円もとってはいけない。無料にしろとまでは言わないがせいぜい3000円だろう。
 もしオペラを知らない人が先日のような公演を観ると、オペラ嫌いになってしまうと思う。

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