2008年1月3日木曜日

上がらない雨

 中国出身で日本で活躍する40歳代の実業家で宋文洲という人がいる。NIKKEI NETのこの人のコラムが私は好きなのだが、今年について次のように言っている。

 経済が成長しない、政治も安定しない年になるかもしれません。しかし、その中でも人生を楽しむことを覚えてほしいと思います。景気は循環するもの、政治は変化するもの。お天気の変化と同じように捉えれば、余計な心配と落胆は損です。
 眩しい青空と輝くサンシャインもいいですが、暗い雲と降り注ぐ雨もそれほど悪くありません。屋根の下から見る雨中の花や草には晴天にない瑞々しさがあります。仕事を休み、体を癒し、本を読み、ゆっくりと晴れるのを待つのも楽しいものです。
 上がらない雨はありません。雨の後は決まって晴天。貴重な雨、必要な雨。雨の年になったら雨を楽しもうじゃありませんか。

 日本人を慰めてくれているようだ。

 経済アナリストの森永卓郎氏、格差社会ということを最初に言った人で「年収300万円」で流行語大賞をとった人だ。以前から小泉純一郎氏の「構造改革」を厳しく批判していた。
 森永氏によるとこれからの人生のコースは 三つに分かれる、一つめは「勝ち組になろうと思って勝ち組になる」、二つめは「最初からあきらめて負け組みになる」、三つめは「勝ち組をめざしながら負け組みになる」。そして彼は一番みじめなのは三つめであると言っている。勝ち組になろうと思って一生懸命働くのだけれど思ったとおりにならず、定年を迎えたときに残っているのはボロボロになった心と体だけ、こういう人が今、日本で一番多い。森永氏は勝ち組になれるのはほんのわずかな人だけであり、最初から勝ち組になろうを思わなければ、年収300万円でも、人生はそれほどつらいものではない、世間のトレンドとは違っても、自分なりの好きなことを見つけ、その喜びを分かち合える仲間とコミュニケーションを楽しむ、それが一番豊かな人生だと言っている。
 実は森永氏は人生を楽しむ達人であり、その中にB級グッズの蒐集というのがある。ミニカー、グリコのおまけ、指人形、すごろく、コーラやお茶の空き缶、消費者金融のティッシュなど40種類以上のグッズを集めて楽しんでいるそうだ。世間的にはちょっと変わった人ということになる。

 宋氏は上がらない雨はないと言って慰めてくれているが、森永氏が最近「年収120万円時代」という本を出したところをみると、まだ雨は続くようだ。

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