2009年1月4日日曜日

タミフル耐性ウイルス

 タミフル耐性のA/H1N1(ソ連型)インフルエンザウイルスが世界規模で急速に広がっている。日本では鳥取県が突出して耐性ウイルスが多いが、その他の地方ではまだ危惧するほどではない。

 2007年の11月ころから、ヨーロッパを中心に広がってきたようだ。2008年10月の時点でヨーロッパの大半の国で耐性ウイルスが50%を超えている。南アフリカ、セネガルでは100%、オーストラリアで80%が耐性であった。この耐性ウイルスはタミフルが効きにくいといった程度ではなく、まったく効かないほどの耐性を持っている。

 これまでタミフルを使うことによって(薬剤の選択圧)で耐性ウイルスが出ることはあったが、そのウイルスは感染力が弱く問題にはならなかった。しかし、今広がっている耐性ウイルスは突然変異で自然発生したものと考えられており(南アフリカやセネガルなどではタミフルは使われていない)、感染力が強い。数年で世界のAソ連型インフルエンザはタミフル無効株が主流となると言われている。

 今年はまだタミフルは使えるにしても、来年以降はタミフルを使っても効かないケースが多くなるだろう。インフルエンザの迅速診断キットはA型とB型の区別はできるがAソ連型とA香港型の区別はできない。検査でB型に出た場合しかタミフルは使えなくなるだろう。しかも、B型はタミフルよりももう一つの抗インフルエンザ薬であるリレンザの方がよく効く。そうするとタミフルの出番はほとんどなくなる。ただ、リレンザは吸入薬であり、幼児など吸入がうまくできない人には使えない。タミフルに変わる経口の新薬の登場が期待される。

 どの型が新型インフルエンザになるか不明だが、今のところ新型インフルエンザにはタミフルは有効であろうと考えられており、新型インフルエンザに対する薬剤の備蓄もタミフルが中心となっている。タミフルはこの数年の内に、通常のインフルエンザに対しては使われなくなり、新型インフルエンザ用の薬剤という位置づけになるのかも知れない。

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