2008年3月23日日曜日

超常現象

 小学生のときだが、学校から帰るとき家に近づくにつれいやな気分が強くなってきた。自分の家が黒雲でおおわれているような不吉な気分であった。帰宅してみると、つないでいた飼い犬が、誰かに持ち去られたのか、ゆくえ不明になっていたのだった。家族の悲しみが自分に伝わってきたのだと思った。これは虫の知らせとかテレパシーというものなのだろう。

 カリフォルニア大学の心理学部助教授のエリザベス・ロイド・メイヤーの「心の科学」は「遠隔透視」を中心とした超常現象を扱った本である。彼女は科学者として超常現象を信じていなかった。しかし、自分の家から盗まれたハープがある家を遠隔透視者に見つけてもらうという経験をしてから、超常現象について探求し始めた。自分で実験をするのではなく、これまで超常現象について書かれた論文を徹底的に読み、研究者やそういう能力を持っている人から話を聞くことを続けた。結論として、遠隔透視に関しては科学的に否定のしようのない論文がいくつもあり、その存在は実証されていると言えるらしい。だが、どうしてそのようなことができるのか分からない。

 序文に物理学者のフリーマン・ダイソンが「科学者としての私は、この話を信じない。だが一人の人間としては信じたい」と書いているように、本を読んだ後も遠隔透視について信じがたい気持ちはある。だがメイヤー女史の科学者としての真摯な姿勢から、この本に書かれていることは事実なのだろうと思う。

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