2008年9月23日火曜日

ラビ・バトラ

 日本はひどい不況に入りかけているが、さらに追い討ちをかけるように米国の金融危機が発生した。

 サブプライムローンによる米国の金融危機を予測していた人は少なくないようだが、30年前に予測したラビ・バトラという人がいる。

 ラバ・バトラはインド生まれの経済学者で、現在米国のサザン・メソジスト大学の教授である。この人は瞑想によって未来の「予測」を獲得するという。かつてイグノーベル賞も受賞している。これだけ聞くといわゆる「トンデモ」系の学者ではないかと思ってしまう。

 だが、ラバ・バトラは世界の貧困をなくすことを目標としており、弱肉強食でマネーゲームと化し、大きな経済格差を有む現在の米国型の資本主義を厳しく批判している。こういう点では共感できる。
 これまで、イラン革命やイラン・イラク戦争などの予測を的中させているが、もっともとんでもない予測は1978年に発表した2000年までに共産主義は崩壊し、2010年前後までに資本主義も崩壊するという予測であろう。しかし共産主義の崩壊はソ連の崩壊ということで的中した。そして資本主義の崩壊も今の米国をみていると的中するかも知れない。もっとも彼のいう資本主義は現在の米国型の資本主義のようで、1950年から1975年頃までの日本の資本主義は健全だとして評価している。

 共産主義も資本主義も崩壊したらいったいどうなるのかということになるが、彼は資本主義と社会主義のいいところを組み合わせた「経済民主主義政策」という経済システムが日本から生まれるとしている。その「経済民主主義政策」の目標は1.高い賃金、2.低い税金、3.広くて安い持ち家、4.適正な物価、5.充実した福祉、6.継続性のある環境保護ということだそうだ。

 しかし、彼が理想とする経済システムは「経済民主主義政策」という造語を持ち出さなくても、「社会民主主義」ということでよいのではないだろうか。米国型資本主義の崩壊は当たるかも知れないが、日本から理想的な経済システムが生まれるという予測は当たるとは思えない。ラビ・バトラは理想主義者で共鳴できる点もあるが、やはり「トンデモ」系の学者のようだ。

 それにしても米国は今後どうなるのか、米国は製造業を放棄して、金融で儲ける国になっている。その金融がだめになれば、ただの農業国家である。数十年先にはブラジルに追いつかれて、アメリカと言えば南米諸国を指すようになるのかも知れない。

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