2008年9月20日土曜日

マノン

 マノンは、カルメンやルルのような男を破滅させる悪女だと思っていた。
 カルメンは強い性格の持ち主である。ルルは常に何かに怯えている神経症的な女だが、したたかに生きようとしている(殺人を犯してでも)。
 だが、マノンは強い女ではない。男を虜にするという点では他の二人と同じだが、思慮が足りなく、享楽的な生活が好きなだけの悪女とは言えない弱い女である。三人とも悲劇的な最後を遂げる。
 カルメンはあくまでも強く自分の意思を貫き、殺される。ルルはロンドンまで逃げのびて、切り裂きジャックに殺される。マノンはボロボロになって病死する。三人の中で一番哀れな最後である。

 ネトレプコの「マノン」のDVDを観たが、美しく着飾っているネトレプコよりも、最後のやつれ果てて汚い衣装をまとったネトレプコの方が魅力的であった。

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