2008年8月10日日曜日

新型インフルエンザに対する感染中断免疫

 感染中断免疫(Aborted-Infection Immunity)という考え方は、米国が新型インフルエンザのパンデミック時に予防的にタミフルを内服するという方針を出したことに対する反対意見として出てきたという。
 インフルエンザが限定的に感染している現状ならば、発症者周辺の人間にタミフルを内服させて感染拡大を防ぐのは合理的だが、ひとたびパンデミックが起きてしまい大量の感染者が出た場合、多くの人が抗ウイルス剤を予防内服すれば、抗ウイルス剤の在庫はすぐになくなってしまう。
 感染中断免疫の基本的な考え方は単純で、ワクチンがない場合は、免疫獲得には一度その病気に罹患する必要があるが、重症化して死んでしまっては意味がない。そこで、新型インフルエンザにかかり、熱が出たらすぐにタミフルなどの抗ウイルス剤で治療を開始する。発熱症状が出てから数時間の間に治療を開始すれば症状は軽くて済むし、回復後は免疫も獲得できるということだ。
 パンデミックワクチンは新しい手法による製造では最短二ヶ月で作ることができるそうだ。それができるまで、ライフラインにかかわる人にだけに予防投与し、それ以外の人はパンデミック時に熱が出ればすぐにタミフルなどの抗ウイルス薬を使用するということがもっとも良いのかもしれない。ただ、そのためには今あるインフルエンザの薬のタミフルとリレンザを市販薬にして、誰でもすぐに入手できるようする必要がある。

0 件のコメント: