2008年4月12日土曜日

山口百恵は菩薩である

 「山口百恵は菩薩である」というのは、平岡正明が書いた本の題名である。平岡正明はそれ以前に「ジャズより他に神はなし」という本も書いており、唯物論者のくせに神や仏が好きなようだ。

 私は山口百恵のファンであった。LPも何枚も持っている。でも純粋に山口百恵が好きだったのではないかも知れない。山口百恵を通してある女性を見ていたのかも知れない。

 大学時代、あるサークルで知り合った年上の女性が、山口百恵に雰囲気が似ていた。私はその人にあこがれていた。女性としての魅力もあるが、人間としてとても魅力的な人だった。その人が大学を卒業したら、私は自分の気持ちを打ち明けようと思っていた。でも卒業の直前にある男性からプロポーズされ、卒業するとすぐに結婚してしまった。もちろんショックであった。ただ、その男性のことも私は良く知っていた。顔なら自信を持って私の方が良いといえるが、人間的なスケールの大きさではとてもかなわない。お似合いの二人だと思った。

 結婚してその人は郷里を離れたため、長い間会うことはなかった。だが、数年前に帰郷した際に私の職場を二人でたずねてくれた。訪問すると連絡を受けたとき、若いときのあこがれの人も会ってみればただの中年のおばさんになっているのだろうな、と思った。でもそうではなかった。若いときよりも妖艶な魅力が増し、もっと美しくなっており驚いた。

 しかし恋心が燃え上がることはもうなかった。

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